Perspective
海洋科学:海洋における生物地球化学的な極端事象と複合事象
Nature 600, 7889 doi: 10.1038/s41586-021-03981-7
海洋は、主に人為起源の炭素排出の結果として、温暖化し、酸素を失い、酸性化している。海洋の温暖化、酸性化、脱酸素化は今後数十年にわたって増大すると予想されており、これによって、海洋熱波などの極端事象は強度が増し、より頻繁に起こり、より長期間にわたって継続し、より広い領域に拡大すると考えられる。それにもかかわらず、温暖化、低酸素濃度、酸性度の高さに関連した海洋の極端事象だけでなく、それらが海洋生態系に及ぼす影響も、まだあまりよく分かっていない。複数の極端事象が同時あるいは短い時間間隔で生じる複合事象は、個々の極端事象の影響が相乗的に相互作用する可能性があるため、特に懸念されている。今回我々は、既存の文献と、全球モデルシミュレーションおよび地域モデルシミュレーションに基づいて、外洋における極端事象のパターンと傾向を評価した。さらに、個々の極端事象と複合極端事象が海洋の生物と生態系に及ぼす潜在的な影響についても検討した。我々は、極端事象とそれらに対応する海洋生物の能力についての理解を深めるための道筋を提案する。現在の極端事象が示す状況は、将来普通になると思われる状況の前触れである可能性がある。その結果として、この研究の取り組みを続けることは、将来の気候変動に対する海洋の生物と生態系の応答をよりよく理解するのにも役立つ可能性がある。

