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コロナウイルス:SARS-CoV-2の潜在的な伝播とCOVID-19の第一波

Nature 600, 7887 doi: 10.1038/s41586-021-04130-w

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が持ち込まれた時系列と、局所的な伝播の開始については、世界的にかなりの不確定要素がある。2020年1月と2月に報告されたSARS-CoV-2の持ち込み件数はわずかだったが、初期検査基準の狭さと、検査能力がなかなか向上しなかったことや出入国時のスクリーニングが穴だらけだったことと相まって、多くの国々は容赦ない潜在的な伝播に対して無防備な状態であった。今回我々は、世界規模のメタ個体群エピデミックモデルを使って、欧米における感染拡散初期の機構的理解や、SARS-CoV-2の持ち込みの起きた期間と局地的伝播の開始時期について示す。我々は、SARS-CoV-2のコミュニティー伝播が2020年1月までに欧米のいくつかの地域で起きていた可能性が高いことを見いだし、3月初旬までに監視システムで検出されたSARS-CoV-2感染は、100件当たりわずか1〜4件だったと推定した。モデル化の結果、国をまたいだ人の移動がSARS-CoV-2の持ち込みの重要な駆動要因であることが明らかになり、持ち込みと伝播が起きたのは、2019年12月〜2020年1月という早い時期であった可能性が示された。2020年7月4日までに累積発病率に不均一な地理的分布が見られ、その発病率は米国各州では0.78%から15.2%、ヨーロッパ諸国では0.19%から13.2%と大きな幅があったことが分かった。我々の手法は、系統発生学的解析や他の監視手法を補完するものであり、モデルによる革新的な監視システムの設計に使用できる手掛かりを示しており、これらは検査法や応答戦略を改良する指針となる。

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