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ウイルス学:ハイチの小児に見られたブタデルタコロナウイルスの独立した感染
Nature 600, 7887 doi: 10.1038/s41586-021-04111-z
コロナウイルスは、進行中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のパンデミック(世界的大流行)を含め、2003年以降3つの大規模なエピデミックを引き起こしている。いずれの場合も、ヒトでのコロナウイルスの出現は、動物リザーバーからの人獣共通伝播と関連しており、このような病原体が異種間伝播して、新しい種に適応する傾向がいかに高いかが明確に示されいる。コロナウイルス科(Coronaviridae)の認識されている4つの属の中で、これまでにヒトへの感染が報告されているのは、アルファコロナウイルス属とベータコロナウイルス属に限られている。今回我々は、ハイチの原因不明の急性熱性疾患(acute undifferentiated febrile illness;AUFI)に罹患した小児3人の血漿試料でブタデルタコロナウイルス株を特定した。ゲノムおよび進化の解析から、ヒトへの感染は、Nsp15およびスパイク糖タンパク質をコードする遺伝子に同一の変異シグネチャーを獲得した異なるウイルス系統の、少なくとも2回の独立した人獣共通感染の結果であることが明らかになった。特に、構造解析からは、受容体結合ドメインを含むスパイクS1サブユニットの変化の1つが、このタンパク質の柔軟性と宿主細胞受容体への結合に影響を及ぼす可能性が予測された。我々の知見は、進化的な変化と適応によって、これまでヒト関連コロナウイルス群とは認識されていなかったコロナウイルスによる感染が起こる可能性をはっきりと示しており、特にヒトと動物が密接に接触する可能性がある状況ではそういうことが起こりやすいと考えられる。

