がん:KRAS(G12C)阻害に対する抵抗性に関連する多様な変異
Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-04065-2
不活性状態選択的なKRAS(G12C)阻害剤は、肺がん患者での奏功率が30~40%で、その結果として無増悪生存期間中央値が約6か月となることが示されている。画期的新薬であるこれらの変異型GTPアーゼ阻害剤に対する抵抗性の遺伝学的基盤については、まだ研究が進行中である。今回我々は、KRAS(G12C)阻害剤であるソトラシブによる治療を受けた43人の患者から得た、治療前および治療後のマッチする検体を評価した。27人の患者で、KRAS、NRAS、BRAF、EGFR、FGFR2、MYCなどの遺伝子に、治療に起因する複数の変異が見られた。症状発現前の患者に由来する異種移植片モデルや細胞株モデルでは、KRAS(G12C)阻害に対する抵抗性は、KRAS(G12VまたはG13D)、NRAS(Q61KまたはG13R)、MRAS(Q71R)やBRAF(G596R)という低頻度対立遺伝子のホットスポット変異と関連しており、患者での観察結果とよく似ていた。同質遺伝子系統での単一細胞塩基配列解読では、KRAS(G12C)が同じ細胞中でRASやBRAFに二次的な変異が見つかり、これらは標的の不活性化に影響を与えることなく阻害を迂回した。ERKシグナル伝達中間体を遺伝学的または薬理学的に標的とすると、RASやBRAFの獲得変異を持つモデルで、G12C阻害剤治療の抗増殖効果が増強された。従って我々の研究は、G12C阻害剤治療の間に生じる複数のサブクローン事象を伴う抵抗性が不均一なパターンを示すことを示唆している。我々のコホートの一部の患者では、KRAS、NRAS、BRAFの発がん性変異の獲得が見られ、この状況での抵抗性は、ERKシグナル伝達中間体を同時に標的化することで遅延させられる可能性がある。これらの結果は、前向き臨床試験でより広範な評価を行うに値する。

