Article
計算生物学:円錐交差を横断する光活性タンパク質のフェムト秒の時間分解能
Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-04050-9
分子の構造動力学的性質は、内在するポテンシャルエネルギー地形により決定される。円錐公差は、こうなっていなければ離れているポテンシャルエネルギー表面を連結する漏斗状の状態である。円錐公差はほぼ1世紀前に仮定されたが、それ以来、強い科学的関心の対象であり続けている。生物学では、円錐交差は視覚や光合成、DNAの安定性で極めて重要な役割を担っている。円錐公差を分析する正確な理論的方法の対象は現在のところ小分子に限られており、実験分析は必要となる時間分解能と感度のために難問となっている。従って、円錐公差の現在の構造動力学理解は、10原子程度からなる単純な分子で約100 フェムト秒かそれより長い時間スケールに限られている。分光学では、より良い時間分解能を達成できるが、得られるのは間接的な構造学的情報である。今回我々は、2000個の原子からなるタンパク質である光活性黄色タンパク質の、円錐公差を通る数フェムト秒の原子分解能での動画を示す。これらの動画は実験によるデータから機械学習により抽出されたもので、これにより、円錐公差を経る脱励起の動的軌跡が明らかになり、脱励起過程を制御する円錐交差の重要なパラメーターが得られ、関与する電子ポテンシャルエネルギー表面の地形が解明された。

