Article
気候科学:山岳による北米モンスーンの力学的強制
Nature 599, 7886 doi: 10.1038/s41586-021-03978-2
北半球の夏季にはメキシコ西岸に沿って強い降水帯が1000 km以上にわたって広がり、北米モンスーンの中心部を構成している。他の熱帯モンスーンと同様に、この降水極大は一般に、陸地や隆起した地形から上空大気への熱放射によって熱的に強制されていると考えられているが、このモンスーンを支配する基本的な機構は、明確には理解されていない。今回我々は、北米モンスーンの中心部が、メキシコのシエラマドレ山脈によって温帯ジェット気流が赤道方向へ曲げられ、東向きの斜面上昇流を力学的に強制して湿潤な暖気を上昇させて対流性の降水を生じさせる際に形成されることを示す。こうした知見は、観測結果における力学的構造と熱力学的構造の解析、全球気候モデルの統合、断熱的な定常波解に基づいている。地表の熱フラックスは、特に夏季の午後において、大気に対流が生じる前提条件になるが、この熱フラックスのみでは観測されている降水極大を生み出すのに十分ではない。今回の結果は、北米モンスーンの中心部は、古典的な熱的に強制された熱帯モンスーンではなく、力学的に強制された定常波において生じる対流によって増強された山岳降水として理解すべきであることを示している。これは、過去と未来の全球気候変動に対する北米モンスーンの応答に関連があり、ジェット気流と山岳の相互作用の傾向を最も重要なものにしている。

