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がん:食餌由来のパルミチン酸はシュワン細胞を介して転移促進性の記憶を促進する

Nature 599, 7885 doi: 10.1038/s41586-021-04075-0

脂肪酸の取り込みと代謝の変化はがんの転移に見られる特徴だが、その根底にある生物学的特性を示す証拠はなく、食餌由来のあらゆる脂質が転移促進性なのかどうかも分かっていない。今回我々は、マウスでは、食餌由来のパルミチン酸(PA)は口腔がんと黒色腫の転移を促進するが、オレイン酸やリノール酸は転移を促進しないことを示す。パーム油を多く含む食餌(PA)を短期間与えたマウス由来の腫瘍や、in vitroで短時間PAに曝露させた腫瘍細胞は、連続移植後にも(高レベルのPAに追加で曝露させなくても)高い転移能を維持していた。PAにより誘発されるこの転移促進性の記憶は、脂肪酸輸送体CD36を必要とし、またSet1A/COMPASS複合体の構成要素であるメチルトランスフェラーゼSet1AによるヒストンH3リシン4のトリメチル化の安定的な蓄積と関連していた。バルクRNA塩基配列解読、単一細胞RNA塩基配列解読、ポジショナルRNA塩基配列解読解析により、この転移促進性の記憶を持つ遺伝子は、大多数が腫瘍内シュワン細胞と神経支配(この2つのパラメーターは転移と強く相関するが、その病因についての詳細はほとんど解明されていない)を刺激する神経シグネチャーに関わっていることが示された。作用機序としては、腫瘍に関連したシュワン細胞が、再生促進性の特殊な細胞外マトリックスを分泌し、この分泌を妨げると転移の開始が阻害される。PAが誘発するこの前神経性シグネチャーの記憶とその長期的な転移促進は、どちらも転写因子EGR2とグリア細胞刺激ペプチドであるガラニンを必要とする。まとめると、食餌由来の代謝物が転写とクロマチンの安定的な変化を誘導することで、長期的な転移促進が引き起こされ、これは腫瘍活性化シュワン細胞の再生促進状態に関連しているという証拠が得られた。

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