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進化学:心臓咽頭の解体と祖先的被嚢類の固着性
Nature 599, 7885 doi: 10.1038/s41586-021-04041-w
脊索動物の進化における重要な問題は、ホヤ類の成体の固着性の起源と、オタマボヤ類の完全な自由生活様式が被嚢類(尾索動物)の原始的状態なのか派生的状態なのか、というものである。「新たな頭に新たな心臓(a new heart for a new head)」仮説によると、心臓咽頭遺伝子調節ネットワークの進化が、脊索動物の生活様式の進化を理解する上で重要な側面であるように思われる。今回我々は、オタマボヤ類が心臓咽頭の遺伝子と下位機能の大規模な祖先的喪失を経験しており、これが被嚢類の心臓咽頭遺伝子調節ネットワークの2つの祖先的モジュールの「解体」につながったことを明らかにする。ホヤ類では、これらのモジュールが初期および後期の多能性に関連しており、こうした多能性が一次心臓領域と二次心臓領域ならびに水管筋(siphon muscle)に向けた細胞系譜の運命決定に関わっていることが分かった。我々の研究は、心臓咽頭遺伝子調節ネットワークの解体には水管筋の退行的喪失が関わっていたことを示しており、これは、祖先的な被嚢類がホヤ類に似た固着性の成体生活様式を有していたという進化のシナリオを支持している。このシナリオと一致して、我々の知見はまた、この解体が、オタマボヤ類が食物を濾過するハウス(包巣)という革新によって完全に漂泳性の自由生活様式への移行した際の進化的適応として、オタマボヤ類における心臓発生の加速と、大きく開いた層構造への心臓の再設計に寄与したことを示唆している。

