分子生物学:V型CRISPRトランスポゾン系による標的部位の選択とリモデリング
Nature 599, 7885 doi: 10.1038/s41586-021-04030-z
典型的なCRISPR–Cas系は、可動性遺伝因子に対しては適応免疫を準備している。しかし、I-F型系、I-B型系およびV-K型系はTn7様トランスポゾンによって借用されて、RNAが誘導するトランスポゾン挿入を進める。V-K型CRISPR関連トランスポゾンは、シュードヌクレアーゼCas12k、トランスポザーゼTnsB、AAA+ ATPアーゼのTnsC、ジンクフィンガータンパク質TniQに依存しているが、RNAに依存して起こるDNA転位の分子機構は解明されていない。今回我々は、光合成シアノバクテリアScytonema hofmanniのCRISPR関連トランスポゾンシステムに由来するCas12k-ガイドRNA–標的DNA複合体とDNAに結合したポリマーであるTnsCフィラメントのクライオ電子顕微鏡構造を報告する。Cas12k複合体の構造から、ガイドRNAの複雑な構造とRNAにガイドされた標的DNA認識を仲介する重要な相互作用が明らかになった。らせん状のTnsCフィラメントの組み立てはATP依存性であり、結合しているDNA二本鎖の構造リモデリングを伴う。in vivoでの転位アッセイによって構造の重要な特性が確認され、生化学実験ではTniQがTnsC重合を制限していることが明らかになった。一方、TnsBはTnsCフィラメントと直接相互作用して、ATPが加水分解されるとその脱重合を引き起こす。まとめると、これらの結果は、Cas12kによるRNA誘導的な標的選択が、TnsCフィラメント重合とDNAリモデリングを促進し、TnsBが部位特異的なトランスポゾン挿入を触媒するための誘導プラットフォームを生成させることを示唆している。本研究で得られた知見は、プログラム可能な部位特異的遺伝子挿入手段となるCRISPR関連トランスポゾンを開発するための情報となるだろう。

