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コロナウイルス:ウイルス誘導性老化はCOVID-19のドライバーであり治療標的である

Nature 599, 7884 doi: 10.1038/s41586-021-03995-1

サイトカインや免疫細胞のネットワークの破綻は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による器官損傷や臨床的重症度の原因になる。今回我々は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が、他のウイルスと同様に、感染細胞において主要なストレス応答として細胞老化を引き起こすことを示す。ウイルス誘導性老化(VIS)は他の型の細胞老化と区別できず、炎症性サイトカイン、細胞外マトリックスに対して活性を示す因子、凝固促進メディエーターからなる老化関連分泌表現型(SASP)を伴う。COVID-19患者ではin situの気道粘膜で老化マーカーが見られ、SASP因子の血清レベルが上昇していた。in vitroでの解析から、SASPに類似した分泌、補体溶解、SASPによって増幅された二次的な内皮細胞老化を伴うマクロファージの活性化が起こっていることが実証され、これは、罹患肺組織におけるマクロファージや好中球の浸潤、内皮損傷、広範囲の血栓症など、COVID-19の顕著な特徴を反映していた。さらに、VIS細胞の培養上清は、SARS-CoV-2誘導性の老化と同様に、好中球細胞外トラップ形成や、血小板および凝固カスケードの活性化を誘導した。ナビトクラックスや、ダサチニブとケルセチンの併用といった老化細胞除去薬(セノリティクス)はVIS細胞を選択的に除去し、COVID-19に類似した肺疾患を軽減して、SARS-CoV-2に感染したハムスターやマウスで炎症を低減させた。我々の知見は、VISがCOVID-19に関連したサイトカイン増大や器官損傷の病因となるトリガーであることを明らかにし、また、老化細胞除去薬によるウイルス感染細胞の標的化が、SARS-CoV-2や、おそらく他のウイルス感染に対する治療選択肢になることを示唆している。

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