Article

感染症:野生チンパンジーにおけるハンセン病の原因菌の感染

Nature 598, 7882 doi: 10.1038/s41586-021-03968-4

ハンセン病の原因菌であるらい菌(Mycobacterium leprae)の主な宿主はヒトであると考えられているが、他の哺乳類への異種間伝播は起きており、現在、ココノオビアルマジロ(Dasypus novemcinctus)やキタリス(Sciurus vulgaris)などが維持宿主となっている。ハンセン病の自然感染は、飼育下の非ヒト霊長類でも報告されているが、正確な感染源は分かっていない。今回我々は、西アフリカのギニアビサウのカンタニェス国立公園とコートジボワールのタイ国立公園で、ニシチンパンジー(Pan troglodytes verus)の2つの野生個体群におけるハンセン病様病変について報告する。両個体群の長期的な追跡から、進行したハンセン病に対応する疾患症状の進行が明らかになった。糞便試料と剖検試料のスクリーニングにより、各部位での原因菌として、らい菌の存在が確認され、また、ヒトや他の動物に由来する他の株とのゲノム系統学的比較から、チンパンジー由来の株が異なるまれな遺伝型(4N/Oおよび2F)に属することが分かった。これらの知見は、らい菌が、ヒトや他の未知の環境起源に曝露された結果として、これまで考えられていたよりも多くの野生動物に広がっている可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度