Article
物性物理学:2層原子層における強相関励起子絶縁体
Nature 598, 7882 doi: 10.1038/s41586-021-03947-9
励起子絶縁体(EI)は、半導体における束縛された電子–正孔対(励起子)の形成に起因し、量子多ボソン物理学のための固体状態プラットフォームをもたらす。励起子–励起子の強い反発力は、密度ゆらぎと位相ゆらぎの両方を抑制することによって、凝縮超流動相や結晶相を安定化させると予想されている。EIの分光学的特徴はこれまでに報告されているが、強相関EI状態の決定的な証拠はまだ得られていない。今回我々は、遷移金属ジカルコゲニド(TMD)2層半導体において、強相関二次元(2D)EI基底状態が形成されることを実証する。電気的に絶縁した2枚のTMD層の間に印加したバイアス電圧を調整して電子–正孔束縛対が存在する領域に合わせると、空間的に間接的な準平衡励起子流体が形成されたが、自由電子や自由正孔が存在する領域ではこうした流体は形成されなかった。キャパシタンス測定によって、この流体は励起子圧縮性だが電荷非圧縮性であること、すなわちEIの直接的な熱力学的証拠が示された。また、この流体は強く相関しており、10を超える無次元励起子結合定数を持つ。我々は、励起子の相図を構築して、モット転移と、相互作用によって安定化される準凝縮の両者を明らかにした。今回の実験結果は、エキゾチックな励起子量子相や応用向けの多端子励起子回路を実現する道を開くものである。

