Article
人類学:酪農が可能にした、前期青銅器時代のヤームナヤ牧畜民のステップにおける拡大
Nature 598, 7882 doi: 10.1038/s41586-021-03798-4
前期青銅器時代、西ユーラシアのステップの複数集団が北ユーラシアの広大な地域へと広がった。考古学と遺伝学を組み合わせた証拠は、前期青銅器時代の集団のポントス・カスピ海ステップからの広範な移動が、広大な距離にわたる遺伝子流動につながったことを支持しており、これによってスカンディナビアのヤームナヤ牧畜民集団と、はるか東方のアルタイ山脈およびモンゴルの牧畜民集団(アファナシェヴォとして知られる)が結び付けられた。一部のモデルは、この拡大が、ウマによる牽引、荷車による大量輸送、食餌における肉および乳への日常的な依存を特徴とする、新たに移動性となった牧畜経済の帰結であったことを示しているが、そうした経済的特徴を裏付ける確かな証拠は得られていない。今回我々は、西ユーラシアのステップで発見されたさまざまな個体に由来する歯石のプロテオーム解析を利用して、青銅器時代初頭の酪農に大規模な変化があったことを実証する。酪農が至る所で急速に始まったのが、ステップ集団の分散の開始が知られている時点であることは、ステップでの移動性をもたらした重要な要因に関する重大な手掛かりとなる。また、馬乳タンパク質が見いだされたことで、前期青銅器時代までにウマが家畜化されていたことが示され、ステップにおける集団の分散でウマが果たした役割が支持された。今回の研究結果は、紀元前3000年紀までにポントス・カスピ海ステップがウマの家畜化の中心地であった可能性を示しており、動物の二次的な産物の新規利用が、前期青銅器時代までのユーラシアのステップ牧畜民の拡大の重要な原動力であったという見解を強く支持している。

