Article

構造生物学:構造面から見たC型肝炎ウイルスの受容体結合と侵入

Nature 598, 7881 doi: 10.1038/s41586-021-03913-5

C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、ヒトの慢性肝疾患、肝硬変、肝細胞がんの原因の1つで、世界での感染者は7000万人を超える。HCVのエンベロープ糖タンパク質E1とE2は、ウイルスを宿主細胞へ結合させる働きをするが、侵入過程の詳細はいまだに解明されていない。広域中和抗体の多くは、HCVのE2と細胞の受容体CD81の細胞外大ループ(CD81-LEL)との相互作用を阻害する。今回我々は、低pHがCD81-LELのE2への結合を促進することを明らかにし、さらに抗原結合断片(2A12)およびCD81-LELと複合体を形成したE2(E2–2A12–CD81-LEL)、2A12と複合体を形成したE2(E2–2A12)、それにCD81-LEL単体の結晶構造を決定した。CD81と結合すると、E2の残基418–422が移動し、残基520–539からなる内部ループが広がる。E2–CD81-LEL複合体が膜に埋め込まれた完全長CD81に結合すると、E2の残基Tyr529とTrp531が膜に隣接する位置にくる。リポソーム浮遊解析法によって、低pHとCD81-LELがE2の膜との相互作用を強めることが分かった。一方、E2のアミノ末端中のTyr529、Trp531、Ile422の構造に基づく変異体は膜との結合が起こらなくなった。これらのデータから、酸性化と受容体結合によってE2のコンホメーション変化が起こって、膜との融合に備えるというモデルが裏付けられた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度