分子生物学:哺乳類ミトコンドリアの超複合体CIII2CIVの構造と集合
Nature 598, 7880 doi: 10.1038/s41586-021-03927-z
ミトコンドリア電子伝達系の酵素は、細胞の代謝に重要な役割を担っている。このような酵素は、単離されても活性があるが、in vivoでは会合して超複合体を形成しており、その正確な役割については議論が分かれている。哺乳類では超複合体CIII2CIV1-2、CICIII2、CICIII2CIV(レスピラソーム)が存在するが、CICIII2やレスピラソームとは対照的に、真核生物のCIII2CIV1-2でこれまでに構造が知られているのは出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)と植物由来のものだけで、これらの構成は哺乳類のものとは異なっている。本論文では、哺乳類(マウスとヒツジ)のCIII2CIVとその集合中間体について、さまざまなコンホメーションをとった際の構造を、我々の知る限りで初めて示す。CIII2CIVの集合は、CIII2前駆体から始まって最終的なCIII2CIVのコンホメーションに至るが、集合の進行は集合因子SCAF1のN末端がCIII2に深く挿入されることによって駆動され、一方でそのC末端はCIVへと組み込まれる。我々が得た構造(CICIII2とレスピラソームを含む)から、SCAF1はCIII2CIVの集合にだけ必要であり、レスピラソームの集合には役割を果たしていないことも確認された。CIII2が非対称なのは、サブユニット9が1コピーしか存在しないためであることが分かった。サブユニット9は2個の単量体をまたぐように位置し、2個目のSCAF1がCIII2に結合するのを防いでいて、哺乳類のCIII2CIVにCIVが1コピーしか存在しない理由がこれで説明できる。さらに、CIII2とCIVが集合して超複合体を形成すると、触媒活性に関して有利になることも分かった。CIII2CIVは、電子伝達系の電子伝達効率の微調整に役割を果たしていると、我々は考える。

