特集:BICCN:マウス脳における皮質投射ニューロンのエピゲノム多様性
Nature 598, 7879 doi: 10.1038/s41586-021-03223-w
ニューロンの細胞タイプは従来より、その分子特性、解剖学的性質、機能によって定義されている。最近の単一細胞ゲノミクスの進歩によって、脳における細胞タイプの多様性の分子的特徴が高分解能で明らかになってきているが、ニューロンの細胞タイプは、その解剖学的な特性とは無関係に研究されることが多い。今回我々は、皮質ニューロンを定義する分子的特徴と解剖学的特徴の間の関係についての理解を深めるために、逆行性標識法と単一核DNAメチル化塩基配列解読を組み合わせることで、神経のエピゲノム特性と投射を関連付けた。我々は、63の皮質–皮質および皮質–皮質下の長距離投射を行う1万1827個の単一新皮質ニューロンを調べた。得られた結果から、投射ニューロンの固有のエピジェネティックシグネチャーは、その層や領域の位置と投射パターンに対応していることが示された。また、それらのエピゲノムに基づいて、異なる皮質標的に投射する終脳内細胞をさらに区別することができ、終脳外標的に投射する第5層ニューロン(L5 ET)の一部は軸索投射と一致する別個のクラスターを形成していることが分かった。そうした分離は皮質領域間で異なっており、これは、L5 ETサブタイプには領域特異的な差異があることを示唆していて、これはさらに解剖学的研究によって確認された。特に、皮質–皮質間投射ニューロンのある集団は、終脳内ニューロンではなくL5 ETとクラスターを形成しており、このことから、L5 ET皮質ニューロンのある細胞集団は両方の標的に投射していることが示唆される。このようなニューロンの存在は、皮質–皮質間投射ニューロンの二重逆行性標識法と順行性追跡によって確認され、視床や上丘、橋などの終脳外標的に軸索終末が存在することが明らかになった。これらの知見は、ニューロンの分子特性とそれらの解剖学的特性や投射特性を関連付ける単一細胞エピゲノム手法の能力を強調するものである。

