特集:BICCN:マウス脳の単一細胞分解能のDNAメチル化アトラス
Nature 598, 7879 doi: 10.1038/s41586-020-03182-8
哺乳類の脳細胞では、遺伝子発現、解剖学的構造、機能に著しい多様性が見られるが、この大きな不均一性の根底にある調節性DNAの全体像についてはほとんど分かっていない。今回我々は、マウスの大脳皮質、海馬、線条体、淡蒼球、嗅覚野の45領域に由来する10万3982個の核(9万5815個の神経細胞と8167個の非神経細胞)に単一核DNAメチル化塩基配列解読法を適用して、これらをプロファイリングすることにより、マウス脳の細胞タイプのエピゲノムに関する包括的な評価を行った。その結果、空間的な位置や投射標的が異なる161の細胞クラスターが見つかった。我々は、これらのエピジェネティックタイプの分類法を構築し、シグネチャー遺伝子、調節エレメント、転写因子による注釈付けを行った。これらの特徴から、推定細胞タイプの割り当てを支持する潜在的な調節の全体像が明らかになり、興奮性細胞と抑制性細胞においてサブタイプの決定に調節因子が繰り返し使われていることが分かった。皮質と海馬での興奮性ニューロンのDNAメチル化の全体像には、空間的勾配に沿って連続的な変化が見られた。我々は、この高深度データセットを用いて、単一ニューロンの細胞タイプアイデンディディーと脳領域の空間的な位置を正確に予測する、人工ニューラルネットワークモデルを構築した。高分解能のDNAメチロームと単一核クロマチン接近可能性データを統合することで、特定された全ての細胞タイプについてエンハンサー–遺伝子相互作用の高い信頼性での予測が可能になり、これらは次いで、細胞タイプ特異的なクロマチンコンホメーション捕捉実験により確認された。我々のDNAメチル化アトラスは、単一核に由来するマルチオミクスのデータセット(DNAメチル化、クロマチン接触、オープンクロマチン)を組み合わせ、マウス脳の数百の細胞タイプの調節性ゲノムを注釈付けすることで、マウス大脳全体におけるニューロンの多様性および空間的構成のエピジェネティック基盤を確立するものである。

