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構造生物学:ラジカルSAM酵素MiaBによるtRNAチオメチル化の構造基盤

Nature 597, 7877 doi: 10.1038/s41586-021-03904-6

転移RNAに対する多数の転写後修飾は、翻訳に極めて重要な役割を果たしている。2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン(ms2i6A)修飾は、アンチコドンの36位にアデニンを含む転移RNAの37位(A37)に起こる修飾で、コドン–アンチコドンのA:U塩基対形成の効率を高めて近くの性質が似た塩基による意図しない塩基対形成を防ぎ、翻訳の忠実度を向上させている。イソペンテニルアデノシン(i6A)を修飾してこのms2i6Aにするのが、ラジカルS-アデノシルメチオニン(SAM)メチルチオトランスフェラーゼのMiaBである。ラジカルSAMタンパク質として、MiaBは1個の[Fe4S4]RSクラスターを持ち、これを使ってSAMを還元的に分解して5′-デオキシアデノシル5′-ラジカルを形成し、これが基質のC2水素を引き抜く働きをする。また、MiaBには補助的な[Fe4S4]auxクラスターも含まれ、これがi6A37のC2への硫黄の転移に関わっているとされてきた。しかし、硫黄の転移が起こる仕組みはほとんど解明されていない。今回我々は、嫌気性細菌のBacteroides uniformis由来のMiaBの複数の構造を明らかにした。これらの構造は、2段階反応機構と合致する。すなわち、まず1分子のSAMを使って、補助的クラスターの架橋に関わっているμ-スルフィドイオンをメチル化する。そして次の段階で、2つ目のSAM分子が切断されて5′-デオキシアデノシル5′-ラジカルが生じ、これが基質のC2水素を引き抜くが、この水素引き抜きが起こるのは、C2の混成軌道がsp2からsp3に戻った後である。この研究により、酵素が、不活性なC–H結合を硫黄で官能基化する仕組みに関する理解が深まった。

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