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微生物学:ヒト腸内細菌による治療薬の生物蓄積

Nature 597, 7877 doi: 10.1038/s41586-021-03891-8

腸内の細菌は、治療薬の利用可能性や有効性を変化させることがある。しかし、薬剤と細菌の間の相互作用の系統的なマッピングは最近始まったばかりであり、その基盤となる主な機構として提案されているのは、微生物による薬剤の化学的変換(生物変換)である。今回我々は、代表的な腸内細菌25株による15の構造的に異なる薬剤の枯渇について調べた。その結果、細菌と薬剤の間の70の相互作用が明らかになり、そのうちの29は我々が知る限りこれまで報告されていないものであった。この新しい相互作用の半分以上は生物蓄積が原因の可能性がある。生物蓄積とはつまり、細菌が薬剤を化学的に修飾することなく、そしてほとんどの場合、細菌の増殖が影響を受けることなく、薬剤を細菌細胞内に蓄えることである。典型例の1つとして、我々は広く使用されている抗うつ薬デュロキセチンの生物蓄積の分子基盤を、クリックケミストリー、熱プロテオームプロファイリング、メタボロミクスを用いて調べた。デュロキセチンは、いくつかの代謝酵素に結合して、それぞれの細菌の代謝物分泌を変化させることが分かった。生物蓄積を起こす細菌株と起こさない細菌株からなる特定の細菌群集においてデュロキセチンを試験した結果、デュロキセチンは代謝クロスフィーディングにより群集の組成を顕著に変化させた。我々の知見をさらに動物モデルで検証したところ、生物蓄積を起こしている細菌は線虫の一種Caenorhabditis elegansのデュロキセチンに対する行動応答を減弱させることが分かった。まとめると我々の結果から、腸内細菌による生物蓄積が薬剤の利用可能性や細菌の代謝を変化させる一般的な機構である可能性が示され、これは、微生物相の組成、薬物動態、副作用、薬剤応答におそらくそれぞれ異なるやり方で関与していると考えられる。

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