がん:CRISPRによる細胞間スクリーニングで明らかになった、がん細胞ファゴサイトーシスの調節因子
Nature 597, 7877 doi: 10.1038/s41586-021-03879-4
腫瘍抗原を標的としたモノクローナル抗体療法は、主としてマクロファージによるがん細胞のファゴサイトーシスを誘発することで、がん細胞の排除を促す。しかし、がん細胞はファゴサイトーシスから逃れることがあり、その仕組みは完全には分かっていない。今回我々は、がん細胞とマクロファージの両方で、相補的なゲノム規模のCRISPRによるノックアウトおよび過剰発現のスクリーニングを用い、抗体依存性細胞貪食(抗体依存性の細胞ファゴサイトーシス;ADCP)を妨げる因子を不偏的に特定するためのプラットフォームを開発した。がん細胞では、CD47などの既知の因子に加えて、ADCPに対する感受性の調節因子が多数見つかり、そうした因子には、これまで特性のよく分かっていなかった酵素APMAP(adipocyte plasma membrane-associated protein)が含まれていた。APMAPの喪失は、腫瘍抗原を標的とするモノクローナル抗体またはCD47を阻害するモノクローナル抗体と相乗的に作用し、さまざまな種類のがん細胞でファゴサイトーシスを著しく亢進させることが分かった(APMAPを喪失していない場合にはADCPに抵抗性のがん細胞も含む)。さらに我々は、APMAPの喪失は、いくつかの異なる腫瘍標的モノクローナル抗体と相乗的に作用し、マウスでの腫瘍増殖を阻害することを示す。マクロファージでゲノム規模のカウンタースクリーニングを行ったところ、Gタンパク質共役受容体GPR84がAPMAP欠失がん細胞のファゴサイトーシスを亢進させることが判明した。これらの知見により、抗体に駆動されるファゴサイトーシスに対する感受性のがん特有の調節因子が明らかになり、さらに広く見れば、マクロファージによるファゴサイトーシスに対するがんの抵抗性を支配する仕組みについての理解が深まった。

