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構造生物学:piRNAの標的指向性の構造基盤

Nature 597, 7875 doi: 10.1038/s41586-021-03856-x

PIWIタンパク質は、piRNA(PIWI-interacting RNA)を使って転位性遺伝因子を見つけて抑制し、後生動物のゲノムの完全性を世代を超えて維持する働きをしている。標的となる転位性遺伝因子のPIWIによる認識は、マイクロRNA(miRNA)をガイドとして使うアルゴノートタンパク質による標的mRNAの認識と比較されてきたが、piRNAがどの程度miRNAに類似しているかは分かっていなかった。今回我々は、カワカイメン(Ephydatia fluviatilis)由来のPIWI–piRNA複合体について、標的RNAがある状態とない状態の両方のクライオ電子顕微鏡構造を示し、標的認識について生化学的解析を行った。アルゴノートと同じように、PIWIはpiRNAのシード領域を用いて標的を認識していた。しかし、PIWIが作るシードはずっと弱いので、標的との安定な結合にはpiRNAと標的のさらなる対合が必要となり、そのためにpiRNAはmiRNAに比べて標的についての特異性が高くなる。シード領域を超えた部分では、PIWIの構造は、piRNAと標的の対合が誤対合を許容する形で行われやすくしていて、その結果としてPIWI–piRNA–標的の長寿命の相互作用が生じて、それが転位性遺伝因子の転写産物上に集積するのかもしれない。PIWIは、シードの忠実度の高い対合なしでpiRNAと標的の相互作用が拡大するのを物理的に妨げることによって、また、エンドヌクレアーゼの活性を持つコンホメーションをとるためにpiRNA–標的二本鎖領域の拡大を必要とすることによって、標的選択が確実に間違いなく行われるようにしている。このように、PIWIタンパク質は、細胞内mRNAへの非特異的標的化を最少に抑えながら、ゲノムへの脅威が生じないように保護する働きをしている。

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