量子物理学:トラップイオンキュービットのレーザーフリー高忠実度自在制御
Nature 597, 7875 doi: 10.1038/s41586-021-03809-4
複数のキュービットの自在制御(キュービットをエンタングルして個々のキュービットを任意に操作する能力)は、量子計算、量子シミュレーション、量子ネットワークの基本的資源である。これまでに、トラップ原子イオンにおいて実現されたキュービットによって、2キュービットの最も忠実度の高いエンタングル操作と単一キュービットの回転が示されている。トラップイオンキュービットの自在制御は、密に収束させたレーザービームを用いるか、イオンをレーザービームに対して相対的に移動させることによって個別に実証されているが、それらの忠実度はより低いものであった。レーザーを使わないエンタングル法は、無線通信用に開発されたマイクロ波技術を利用することによってスケーラビリティーの向上をもたらす可能性があるが、その性能は、これまで報告された最良のレーザー手法には今のところ後れを取っている。今回我々は、初期化誤差を補正した忠実度(信頼水準68%)がそれぞれ1+0−0.0017と0.9977+0.0010−0.0013の最大限にエンタングルした対称状態と反対称状態を生成することによって、2つのトラップイオンキュービットの高忠実度レーザーフリー自在制御を実証する。我々は、高周波磁場勾配とマイクロ波磁場の組み合わせに基づく、複数のデコヒーレンス源に対してロバストで、基本的にいかなるトラップイオン種にも使用できるスキームを用いた。このスキームは、大規模なトラップイオン量子プロセッサーにおいて、制御信号のパワーや複雑さを増やすことなく、複数のイオン対のエンタングル操作を同時に実行できる可能性がある。この技術を、トラップ集積フォトニクスによって送達される低出力レーザー光やキュービット読み出し用のトラップ集積光子検出器と組み合わせることで、スケーラブルな高忠実度フルチップ集積トラップイオン量子計算の機会が得られる。

