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発生生物学:定量的細胞系譜解析から明らかになった肝膵胆管前駆細胞のニッチ

Nature 597, 7874 doi: 10.1038/s41586-021-03844-1

単一細胞に基づく研究から、幹細胞や前駆細胞の区画には細胞に大きな不均一性があることが明らかになっており、器官形成過程には、細胞系譜への拘束状態がさまざまな細胞の混合や顕著な可塑性を伴う連続的な分化軌跡が存在することが示唆されている。肝膵胆管器官系は小さな内胚葉前駆細胞区画に依存しており、この区画から、肝臓、膵臓、胆嚢、肝外胆管などの、異なるさまざまな成体組織が生じる。マウス胚における多様な発生シグナルの実験的操作によって、この胚領域での細胞の可塑性の重要性が明らかになっている。これは、肝臓、膵臓、胆嚢における多器官表現型を特徴とする先天性形成異常だけでなく、ヒトの遺伝的症候群の存在にも反映されている。しかし、内胚葉前駆細胞区画が分離して肝臓、胆管、膵臓の構造を形成する以前の、正確な細胞系譜の階層性や一連の事象についてはいまだ確立されていない。今回我々は、計算モデル化の手法と遺伝的細胞系譜追跡を組み合わせて、肝膵胆管の系統樹を正確に再構築した。その結果、1つの多能性前駆細胞亜集団が膵胆管の器官原基でも存続し、膵臓と胆嚢だけでなく肝臓にも細胞を提供していることが分かった。さらに我々は、単一細胞RNA塩基配列解読と機能的実験を用い、この亜集団を多能性の状態で発生過程の長期間にわたり支えている特殊なニッチを明らかにした。まとめるとこれらの知見は、肝膵胆管発生の根底にある持続的な可塑性を示しており、こうした可塑性が、膵胆管の成長を低下させながら肝臓を迅速に拡大させることの説明になる可能性がある。

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