分子生物学:DAXXは新しいタイプのタンパク質折りたたみ実現促進因子である
Nature 597, 7874 doi: 10.1038/s41586-021-03824-5
タンパク質品質管理システムは細胞の機能と生物の健康に非常に重要である。現在、既知のタンパク質品質管理システムのほとんどは多成分からなる装置で、ATPにより調節された相互作用を介して本来のものとは異なるタンパク質の凝集を防止し、折りたたみを促進するように働いている。これとは異なる機構によりタンパク質の折りたたみを幅広く可能とするシステムはほとんど見つかっていない。また、真核生物のプロテオームには、広範囲にわたって電荷を有するポリAsp/Glu(ポリD/E)領域を含むタンパク質がよく見られるが、それらの生化学活性は明らかになっていない。今回我々は、ポリD/Eタンパク質の1つで多様な細胞過程に関与するとされているDAXXが、複数のタンパク質折りたたみ活性を持つことを示す。DAXXは、凝集を阻害し、すでに存在する凝集体を可溶化し、そしてモデル基質や神経変性関連タンパク質の誤った折りたたみ方をされたものの折りたたみを解消して元の状態に戻す。DAXXは、自身のクライアントタンパク質であることがin vivoで確認されている腫瘍抑制因子p53とその主なアンタゴニストであるMDM2の凝集を効果的に抑制し、凝集したものは元に戻す。DAXXはまた、腫瘍に結合した、凝集しやすいp53変異体に本来のコンホメーションと機能を回復させ、その発がん性を低下させる。これらのDAXX活性はATP非依存性で、その代わりにポリD/E領域に依存している。ANP32AとSETなどの他のポリD/Eタンパク質もまた、単独でATP非依存性の分子シャペロン、脱凝集酵素やアンフォルダーゼとして機能できる。従って、ポリD/Eタンパク質はおそらく、独特の機構により動作する多機能性タンパク質品質管理システムを構成すると考えられる。

