微生物学:翻訳と同時に起こるプロリルヒドロキシ化はフラビウイルスの生合成に不可欠である
Nature 596, 7873 doi: 10.1038/s41586-021-03851-2
ウイルス病原体は、今なお世界中の公衆衛生上の脅威である。このようなウイルスの宿主生合成経路への依存を解析することは、効果的な抗ウイルス療法につながる可能性がある。今回我々は、ポリソームのプロテオーム解析を機能ゲノミクスおよび薬理学的介入と統合することにより、エンテロウイルスやフラビウイルスが宿主ポリソームをリモデリングして、ウイルスタンパク質を合成したり、宿主タンパク質の産生を不能にしたりする仕組みを明らかにする。ポリオウイルス、デングウイルス、あるいはジカウイルスに感染すると、ポリソームの組成が著しく変化するが、コアリボソームの大きな化学量論的変化は起きないことが見いだされた。これらのウイルスは異なる戦略を用いて、ポリソームから翻訳開始因子やRNA監視因子の共通するセットを排除する一方、ウイルスの生合成に特異的に必要とされる宿主装置を誘導する。こうした特殊化したウイルスポリソームの標的化は、抗ウイルス介入のための新しい手法になる可能性がある。例えば、ジカウイルスとデングウイルスはいずれも、コラーゲンのプロリンをヒドロキシ化する装置を用いて、ウイルスポリプロテインの保存されたプロリン残基を翻訳と同時に修飾することが発見された。プロリンヒドロキシ化を遺伝的あるいは薬理学的に阻害すると、ウイルスの新生ポリプロテインの折りたたみが障害されて、その凝集や分解が誘導される。重要なことに、こうした介入によって、ウイルスのポリソームのリモデリングが防止され、ウイルスの産生が低下する。我々の知見は、ウイルスと宿主の相互作用面でのポリソーム特殊化が持つモジュール性を明らかにするとともに、選択的な抗ウイルス介入の標的を特定するための強力な戦略を確立している。

