Article

計算生物学:タンパク質構造のAlphaFoldによる非常に正確な予測

Nature 596, 7873 doi: 10.1038/s41586-021-03819-2

タンパク質は生命に不可欠であり、その構造の解明は、タンパク質の機能の作用機序解明を容易にする。膨大な数の実験を通して、およそ10万ものタンパク質が持つ独自の構造が明らかにされてきたが、これは数十億に上る既知のタンパク質配列のごく一部にすぎない。構造が決定されたタンパク質の範囲拡大を妨げているのは、1個のタンパク質の構造決定に数か月から数年もの骨の折れる仕事が必要になることである。こうした欠陥を克服し、大規模な構造バイオインフォマティクスを可能にするには、計算による精度の高い方法が必要である。あるタンパク質がとるであろう三次元構造を、そのアミノ酸配列、つまり「タンパク質の折りたたみ問題」の構造予測成分だけに基づいて予測することは、50年以上にわたって解決されていない重要な問題である。最近の進歩にもかかわらず、既存の手法だけでは原子レベルの精度の達成にはほど遠く、同じような構造が判明していない場合には特に難しい。今回我々は、たとえ類似した構造が知られていない場合でも、タンパク質の構造を常に原子レベルまで正確に予測できる、初めての計算的手法について報告する。我々は、ニューラルネットワークに基づくモデルであるAlphaFoldを全面的に再設計し、難関である第14回タンパク質構造予測精密評価(CASP14)で、大多数の例で実験手法による構造に匹敵する精度が得られることを実証し、他の手法を圧倒的に上回る成績を挙げた。AlphaFold最新版の基盤となっているのは、新規な機械学習方法であり、深層学習アルゴリズムの設計にタンパク質の構造に関する物理的、生物学的知識を取り入れ、多重整列も取り込んで活用している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度