Perspective

コロナウイルス:パンデミックの後:COVID-19の今後の軌跡についての展望

Nature 596, 7873 doi: 10.1038/s41586-021-03792-w

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされたパンデミックは、ワクチン接種の世界的な取り組みによって収束するだろうと、現実的に期待されている。とはいえ、このウイルスがヒト集団とどのような長期的関連性を確立するか、特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がエンデミック疾患になるかどうかについては不確実性が残っている。このような軌跡を予測することは困難だが、この移行に影響を及ぼす条件、概念、変数は予測できる。SARS-CoV-2のエンデミックウイルスとしての持続は、おそらく季節的なエピデミックのピークを伴い、感受性を持つ一部の人、感染後あるいはワクチン接種後の免疫の低下、防御効果を減弱させる連続抗原変異(ドリフト)によるウイルスの変化、人獣共通リザーバーからの再侵入によって促進される可能性がある。本論文では、これまでのエピデミックから得られた関連性のある観察結果について概説し、あるレベルの集団免疫が存在する状況で持続的な伝播が起こっている際に、SARS-CoV-2の適応とともに起こり得る進化について議論する。効果的なサーベイランスや適切な対応が行われないと、SARS-CoV-2のエンデミック感染から、新しいエピデミックやパンデミックのパターンが出現し得る可能性がある。我々は、適切な意思決定を行うために緊急に必要となるいくつかの重要なデータについてその概要を説明し、今後の方針を提案する。

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