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微生物学:微生物は腸上皮細胞の死によって誘導される栄養素の放出を利用する
Nature 596, 7871 doi: 10.1038/s41586-021-03785-9
調節された細胞死は生命の不可欠な部分であり、生物の発生や恒常性に広範な影響を及ぼす。細胞死を起こしている細胞の除去などの調節された細胞死過程における機能不全は、消化管をはじめとするさまざまな組織で多様な病変に現れることがある。細胞死と、微生物的な構成要素を根底に持つ消化管の病変の間には、長く認識されていながら明確には定められていない関係性が存在するが、細胞死を起こしている哺乳類細胞が細菌の増殖に直接及ぼす影響は分かっていない。今回我々は、患者由来の臨床分離株を含むいくつかの腸内細菌科菌は、細胞死を起こしている腸上皮細胞から放出される可溶性因子を利用する効率的な増殖戦略を持つ、という概念を推進する。哺乳類細胞のカスパーゼ3/7依存性アポトーシス後に放出される栄養素は多数の腸内細菌科菌の増殖を促進しており、これは、マウスの初代大腸組織、マウスおよびヒトの細胞株、いくつかのアポトーシス誘導剤、in vivoの通常マウスおよび無菌マウスを用いて観察された。哺乳類細胞の死で放出される栄養素は、病原性のサルモネラ属(Salmonella)細菌において中核的な転写応答を誘導しており、ピルビン酸ギ酸リアーゼをコードするpflB遺伝子が、食物媒介感染モデル、TNFおよびA20依存性細胞死モデル、化学療法誘発性粘膜炎モデルの3つの状況において細菌定着の重要な駆動要因であることが明らかになった。これらの知見は、宿主–病原体間の複雑な相互作用に、細胞死に誘導される栄養素の放出が腸内細菌の燃料源として働く、という新たな層を加えるものであり、腸の炎症や細胞傷害性化学療法による治療に関係してくる。

