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構造生物学:ヒトNMDA受容体に対するケタミンの作用の構造基盤

Nature 596, 7871 doi: 10.1038/s41586-021-03769-9

ケタミンは、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の非競合的チャネル阻害薬である。麻酔域下用量のケタミンの単回投与により、他の抗うつ剤に抵抗性のある患者で、長く続く抗うつ効果が迅速に(数時間以内)生じる。ケタミンは、鏡像異性体であるS-ケタミンとR-ケタミンのラセミ混合物であり、S-ケタミンの方が抗うつ剤としての活性が高い。今回我々は、S-ケタミン、グリシンおよびグルタミン酸と複合体を形成したヒトGluN1–GluN2AおよびGluN1–GluN2B NMDA受容体のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。これら両方の電子密度図から、チャネルのゲートと選択性フィルターの間にある中央前庭中のS-ケタミン結合ポケットが見つかった。分子動力学シミュレーションにより、S-ケタミンが結合ポケット中の2つの別の部位の間を移動することが明らかになった。GluN2A上のロイシン642(GluN2B上のロイシン643と相同)とGluN1上のアスパラギン616という2つのアミノ酸が、ケタミンと疎水性相互作用および水素結合による相互作用を形成する重要な残基であることが突き止められ、これらの残基の変異により、ケタミンがNMDA受容体チャネル活性を阻害する際の有効性が低下した。これらの知見は、ケタミンがヒトNMDA受容体上に結合し作用する仕組みを構造学的に示しており、ケタミンをベースとして用いた抗うつ剤の将来の開発への道を開くものだ。

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