Review
遺伝学:空間トランスクリプトミクスを用いた組織構造の探索
Nature 596, 7871 doi: 10.1038/s41586-021-03634-9
多細胞生物において遺伝子の活動が細胞の複雑な配置を調整する原理や機構を明らかにことは、生命科学の研究に幅広い意味を持つ。次世代塩基配列解読や画像化を基盤とする手法における最近の技術的進歩は、組織空間全体で、全てあるいはほとんどの遺伝子の発現レベルを系統的に測定する空間トランスクリプトミクスの威力を確立し、神経科学、発生、植物生物学において生物学的手掛かりを得るために、そしてがんなどのさまざまな疾患の状況を研究するために用いられてきた。この技術によって作成された大規模なアトラスは、ゲノム塩基配列解読や人口健康調査によって得られたデータセットと同様に、仮説を立てるための探索的なデータ解析に役立つ。本論文で我々は、空間トランスクリプトミクス技術を概説し、結果として得られたデータを解析するやり方に利用できる操作のレパートリーについて説明する。空間トランスクリプトミクスは、遺伝的摂動あるいは環境的摂動など、時点や条件を比較する実験計画を用いた仮説の検討にも用いることができる。さらに、空間トランスクリプトームデータは、本来、他のデータモダリティーとの統合に適しているため、組織構造についての手掛かりを得るための拡張可能な枠組みになる。

