がん:尿路上皮がんにおけるctDNAに基づくアジュバント免疫療法
Nature 595, 7867 doi: 10.1038/s41586-021-03642-9
転移性再発リスクのあるがん患者を特定するために、残存病変を検出する低侵襲性の方法が必要とされている。循環血中腫瘍DNA(ctDNA)は、分子的な残存病変と再発に対するバイオマーカーとして有望である。我々は、手術可能な尿路上皮がん患者を対象とした、アジュバントのアテゾリズマブ群と経過観察群を比較した無作為化第III相試験から、手術を受けかつctDNAの評価が可能だった581人について、治療成績を評価した。この試験は、治療企図集団において有効性エンドポイントに達しなかった。今回我々は、治療開始時(サイクル1、1日目)のctDNA検査では、214人(37%)の患者がctDNA陽性であり予後不良[経過観察群ハザード比 = 6.3(95%信頼区間:4.45–8.92);P < 0.0001]であると特定されたことを示す。重要なことに、ctDNA陽性患者では、経過観察群に比べてアテゾリズマブ群で無病生存期期間と全生存期間の改善が見られた[無病生存ハザード比 = 0.58(95%信頼区間:0.43–0.79);P = 0.0024、全生存ハザード比 = 0.59(95%信頼区間:0.41–0.86)]。ctDNA陰性の患者では、無病生存期間や全生存期間に治療群間で差は認められなかった。また、6週目のctDNAクリアランスの割合は、経過観察群(4%)よりもアテゾリズマブ群(18%)の方が高かった(P = 0.0204)。ctDNA陽性患者の腫瘍のトランスクリプトーム解析では、細胞周期遺伝子とケラチン遺伝子の発現レベルがより高いことが明らかになった。ctDNA陽性患者とアテゾリズマブ治療された患者では、非再発は免疫応答シグネチャーや、基底細胞や扁平細胞の遺伝子特性と関連していた一方で、再発は血管新生や繊維芽細胞TGFβシグネチャーと関連していた。これらのデータは、ctDNA陽性で再発リスクの高い患者において、アジュバントのアテゾリズマブが、経過観察と比較して、治療成績の改善に関連している可能性を示唆している。これらの知見が他の条件でも検証されれば、手術後のがん治療に対する方法を変化させるだろう。

