Article
量子物理学:極低温自由空間における光学的に浮揚させたナノ粒子の量子制御
Nature 595, 7867 doi: 10.1038/s41586-021-03617-w
量子力学の巨視的スケールでの検証には、機械的運動とそのデコヒーレンスの極めて高度な制御が必要である。機械的運動の量子制御は、微小機械振動子と共振器の電磁場の間の放射–圧力結合の操作によって実現されてきた。さらに、共振器増強検出方式に依拠する測定ベースのフィードバック制御を用いて、微小機械振動子が量子基底状態まで冷却されている。機械的につながれた系とは対照的に、光学的に浮揚させたナノ粒子は、捕捉ポテンシャルを十分制御できるので、巨大物体を用いる物質波実験に特に有望である。今回我々は、フェムトグラム(10−15 g)の誘電体粒子1個を、極低温自由空間中で光学的に浮揚させた。極低温自由空間では熱的影響が十分に抑制され、測定の反作用が主要なデコヒーレンス機構になる。我々は、効率的な量子測定を用いて、この粒子のダイナミクスに対して量子制御を行った。我々は、測定ベースのフィードバックによってその重心運動を冷却し、平均占有率0.65の運動量子を実現した。これは、状態純度0.43に相当する。光共振器がないこととその帯域幅制限のために、電磁場に利用できる完全量子制御を機械系に移行できる見込みがある。光捕捉ポテンシャルが高度に制御可能であるという事実と合わせると、今回の実験プラットフォームは、量子力学を巨視的スケールで調べる手段をもたらすものとなる。

