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構造生物学:血液脳関門を横切るオメガ3脂肪酸輸送の構造基盤
Nature 595, 7866 doi: 10.1038/s41586-021-03650-9
ドコサヘキサエン酸はオメガ3脂肪酸の1つで神経の発達や機能に必須であり、主に食餌から取り込まれて脳や眼へと供給される。この栄養素はリゾホスファチジルコリンの形で、MFSD2A(major facilitator superfamily domain containing 2A)によりNa+に依存して血液脳関門と血液網膜関門を横切って輸送される。今回我々は、単粒子クライオ電子顕微鏡法を用いて決定されたMFSD2Aの構造を示す。この構造から、2つの準対称なドメインに分かれている12本の膜貫通ヘリックスが明らかになった。この輸送体は内向きのコンホメーションを採っていて、大きな両親媒性の空洞が特徴であり、ここにはNa+結合部位とそこに結合した基質のリゾ脂質(ネイティブ質量分析を用いて確認された)が含まれている。この構造に、我々が行った機能解析と分子動力学シミュレーションとを組み合わせて、MFSD2Aが基質と相互作用する仕組みや、Na+依存的なコンホメーション変化により、これらの基質が側方のゲートを通って膜内へと放出できるようになる仕組みの詳細が明らかになった。我々の研究は、この非定型的なMFS輸送体が仲介する脳へのリゾ脂質の取り込みの分子機構についての手掛かりを与えるもので、これは神経治療薬の送達に役立つ可能性がある。

