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遺伝子工学:造血幹細胞での塩基編集でマウスの鎌状赤血球症を救済する

Nature 595, 7866 doi: 10.1038/s41586-021-03609-w

鎌状赤血球症(SCD)は、βグロビン遺伝子HBBに生じた1つの変異が原因で起こる。我々は、カスタマイズしたアデニン塩基エディター(ABE8e-NRCH)を使って、SCD型対立遺伝子(HBBS)を非病原性変異体であるMakassar型βグロビン(HBBG)に変換した。塩基エディターをコードするmRNAを、標的へ誘導するガイドRNAと共に、SCD患者由来の造血幹・前駆細胞(HSPC)にex vivoで送達すると、HBBSの80%がHBBGに変換された。編集したヒトHSPCを免疫不全マウスに移植してから16週間後、HBBGの頻度は68%であり、骨髄網状赤血球の低酸素誘導性鎌状化は5分の1に減少したことから、遺伝子編集が持続することが示された。我々は、HBBS塩基編集の生理的影響を評価するために、ABE8e-NRCHとガイドRNAをヒト化SCDマウス由来のHSPCに送達し、次いでこれらの細胞を放射線照射マウスに移植した。16週間後、血液中のβグロビンタンパク質の79%がMakassar型βグロビンとなっており、低酸素誘導性鎌状化は3分の1に減少していた。塩基編集を受けたHSPCを導入されたマウスは、血液学的パラメーターがほぼ正常であり、編集されていない細胞が導入されたマウスに比べ、脾臓の病変が軽減していた。編集された骨髄の二次移植によって、遺伝子編集が長期造血幹細胞で持続することが確かめられ、表現型の救済にはHBBSからHBBGへの編集が20%以上起こっていれば十分なことが明らかになった。ヒトHSPCの塩基編集では、Cas9ヌクレアーゼ処理後に観察されてきたp53活性化と大規模な欠失が回避された。これらの知見は、SCDの1回限りの自家治療で、病原性のHBBSが除去され、良性のHBBGが生成し、二本鎖DNA切断という望ましくない作用を最小限にできることを示している。

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