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材料科学:二機能性ナノ析出物による中エントロピー合金の強化と延性化
Nature 595, 7866 doi: 10.1038/s41586-021-03607-y
面心立方(fcc)構造の単相の高エントロピー合金や中エントロピー合金は、高い引張延性と優れた靭性を示し得るが、その室温強度は低い。粒界、双晶境界、溶質原子、析出物などの転位障害物によって、強度が向上する可能性がある。しかし、わずかな例外を除いて、そうした障害物は延性を低下させる傾向がある。興味深いことに、析出物は相変態を妨げることもある。今回我々は、析出物によって強化されたFe–Ni–Al–Ti中エントロピー合金モデルを用いて、単一合金においてこれら2つの機能を組み合わせる戦略を実証する。今回の合金中のナノ析出物は、従来どおりマトリックスを強化するだけでなく、fccオーステナイトから体心立方(bcc)マルテンサイトへの変態も調節し、変態温度を通過して急冷した後も準安定fccにとどまるよう制約を課す。その後の引張試験中、マトリックスは次第にbccマルテンサイトへと変態して、強度、加工硬化、延性の大幅な増大を可能にする。今回のナノ析出物の使用は、析出強化と変態誘起塑性の相乗効果を利用しており、その結果として、引張強度と一様伸びが同時に向上する。今回の知見は、相変態の化学的駆動力とともに析出物の特性(サイズや間隔など)を変えることによって、厳密に必要な時に相乗的な変形機構を意図的に活性化させて、強度と延性を最適化する方法を実証するものである。

