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がん:SETDB1によるエピジェネティックなサイレンシングは腫瘍に内在する免疫原性を抑制する
Nature 595, 7866 doi: 10.1038/s41586-021-03520-4
エピジェネティックな調節異常は、免疫回避が関係する腫瘍発生の決定的特徴である。今回我々は、がん細胞の免疫感受性を調節する因子を突き止めるために、免疫チェックポイント阻害剤を投与した腫瘍マウスモデルで、936のクロマチン調節因子を標的として、in vivo CRISPR–Cas9スクリーニングを行った。その結果、H3K9メチルトランスフェラーゼであるSETDB1や、HUSH複合体とKAP1複合体の他の構成メンバーが免疫回避を介在する因子であることが明らかになった。また、ヒト腫瘍でのSETDB1(1q21.3)の増幅が、免疫の排除や免疫チェックポイント阻害剤抵抗性に関連していることも分かった。SETDB1は、主に開いたゲノム区画内にある幅広い領域を抑制する。これらの領域には、転位性遺伝因子(TE)や、ゲノム進化の中心的機構であるゲノムのセグメント重複事象に関わる免疫関連クラスターが多く含まれている。in vivoでSETDB1が失われると、これらの領域で潜在性TE由来の調節因子、免疫賦活作用を持つ遺伝子、TEがコードするレトロウイルス抗原の抑制が解除され、TE特異的細胞傷害性T細胞応答が引き起こされる。我々の研究によって、SETDB1が腫瘍に内在する免疫原性を抑制するエピジェネティックなチェックポイントであり、従って免疫治療の標的候補となることが確かめられた。

