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代謝:栄養素が制限されている際には硫黄が隔離されて多細胞性が促進される
Nature 591, 7850 doi: 10.1038/s41586-021-03270-3
粘菌の一種であるキイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum)の挙動は栄養状態によって決まる。この粘菌は、十分な餌がある時には単細胞状態で存在するが、飢餓になると集合して多細胞生物となる。キイロタマホコリカビはこのような特性を持つため、基本的な代謝が細胞の分化と機能を支配する仕組みを調べるための理想的なモデルの1つとなっている。今回我々は、栄養素が制限された場合に生じる活性酸素種が、抗酸化物質であるグルタチオンへのシステインの隔離を引き起こすことを明らかにする。この隔離によって、タンパク質の翻訳や鉄–硫黄クラスターを含む酵素の活性のような、ミトコンドリアの代謝や細胞増殖に関わるさまざまな過程で、システインの硫黄原子の使用が制限される。このような調節下での硫黄の隔離が、キイロタマホコリカビを非増殖状態に保ち、これが多細胞生物としての成長の準備を整える。活性酸素種を介したこのシグナル伝達機構は、初期の真核生物では酸素と硫黄が細胞の運命を決める簡単なシグナル伝達分子であったことをはっきりと示しており、多細胞真核生物では栄養素の増減への応答にも関与している可能性がある。

