パーキンソン病:増殖因子によって活性化されるリソソームK+チャネルがパーキンソン病の病態を調節する
Nature 591, 7850 doi: 10.1038/s41586-021-03185-z
リソソームは必須の生理学的役割を持ち、パーキンソン病に関与することが以前から示されてきた。しかし、細胞外の増殖因子が細胞内の細胞小器官と情報伝達を行ってリソソームの機能を制御する仕組みについてはよく分かっていない。今回我々は、増殖因子によって活性化され、プロテインキナーゼB(AKT)によって開閉される、リソソームK+チャネル複合体を見いだし、これをlysoKGFと命名した。lysoKGFは、孔形成タンパク質のTMEM175とAKTからなり、TMEM175はAKTの触媒活性によってではなく、AKTのコンホメーション変化によって開かれる。TMEM175のありふれたバリアントであるrs34311866のマイナー対立遺伝子は、パーキンソン病の発症リスク増加と関連があり、チャネル電流を減少させる。lysoKGF機能が低下すると、ニューロンはストレスで誘導される損傷を受けやすくなり、病的なα-シヌクレインの蓄積が加速する。対照的に、TMEM175のもう1つのありふれたバリアントであるrs3488217のマイナー対立遺伝子は、パーキンソン病の発症リスクの低下に関連し、細胞飢餓時にlysoKGFの機能獲得を生み出し、損傷に対する耐性をニューロンに持たすことができる。TMEM175の欠損は、マウスでドーパミン作動性ニューロンの喪失や運動機能の障害を引き起こし、TMEM175機能喪失バリアントは、パーキンソン病患者での認知機能と運動機能の低下の加速と関連するようである。以上より、我々の研究から、細胞外の増殖因子が細胞内の細胞小器官の機能を調節する経路が見つかり、TMEM175のありふれたバリアントがパーキンソン病のリスクを与えるという治療標的となり得る機構が明らかになった。

