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神経科学:線虫のニューロピル構築に関する構造的・発生的原理

Nature 591, 7848 doi: 10.1038/s41586-020-03169-5

ニューロピルは脳内の組織編成の基本形態であり、その内部では、密に詰まったニューロンがシナプスを介して相互に接続し、精密な回路構造を作り上げている。しかし、このナノスケールの精密さを支配する構造的・発生的な原理は、いまだにほとんど解明されていない。今回我々は、「拡散凝縮法(diffusion condensation)」と名付けた反復的なデータ粗視化アルゴリズムを用い、線虫の一種Caenorhabditis elegansの神経環として知られるニューロピルの内部において、入れ子状の回路構造を見いだした。C. elegansの神経環ニューロピルはその大部分が、関連した行動の回路群からなる4つの層に編成されていることが分かった。ニューロピルのこうした層状構造は、感覚情報と運動出力の機能的分離の幾何学的表現であり、特定の感覚器官と筋肉の区画は特定のニューロピル層に対応していた。また、層をまたいで情報を統合し、神経環内でこれらの層を取り囲む神経構造を作り出す、独特な形態を持つニューロン群が複数特定された。さらに、高解像度の光シート顕微鏡と、細胞系譜追跡と細胞追跡のアルゴリズムを組み合わせて用いることで、発生の過程が解像され、ニューロピルの層状編成を誘導する細胞の位置・移動・突起伸長が明らかになった。今回の結果は、神経環ニューロピルの構造と機能の根底にある保存された構造設計原理と、層状ニューロピルの階層的発達を誘導する、パイオニアニューロンを基盤とした伸長の経時的進行を明らかにするものである。これらの知見によって、脳内のニューロピル編成を理解するために構造と発生の手法を用いる際の体系的な青写真が得られた。

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