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遺伝学:COVID-19における重篤な疾患の遺伝的機構

Nature 591, 7848 doi: 10.1038/s41586-020-03065-y

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を原因とする重篤な疾患では、宿主を介した肺炎症が認められ、これが死亡率を高めている。重篤疾患と関連付けられる宿主の遺伝的バリアントが明らかになれば、治療法の開発のための機構的標的を特定できる可能性がある。本論文では、英国の208の集中治療室のCOVID-19重篤患者2244人を対象とした、GenOMICC(Genetics Of Mortality In Critical Care)ゲノム規模関連研究の結果について報告する。我々は、ゲノム規模で有意な関連が見られる座位として新たに以下の4つを特定し、その再現性を確認した。それらは、1)12番染色体上の、一連の抗ウイルス制限酵素活性化因子をコードする遺伝子クラスター(OAS1OAS2OAS3)内の12q24.13(rs10735079、P = 1.65 × 10−8)、2)19番染色体上の、チロシンキナーゼ2をコードする遺伝子(TYK2)の近傍にある19p13.2(rs74956615、P = 2.3 × 10−8)、3)19番染色体上の、ジペプチジルペプチダーゼ9をコードする遺伝子(DPP9)の19p13.3(rs2109069、P = 3.98 × 10−12)、4)21番染色体上の、インターフェロン受容体遺伝子IFNAR2の21q22.1(rs2236757、P = 4.99 × 10−8)である。我々はさらに、認可済み薬剤のリポジショニングのための標的候補を特定した。メンデル無作為化の結果、IFNAR2の低発現あるいはTYK2の高発現が致死的な疾患に関連することを示す証拠が得られ、肺組織におけるトランスクリプトーム規模の関連解析から、単球–マクロファージ走化性受容体のCCR2遺伝子の高発現が重症COVID-19と関連することが示された。我々の結果から、COVID-19における、宿主の主要な抗ウイルス防御機構および炎症による器官損傷のメディエーターに関係するロバストな遺伝的シグナルが明らかになった。これらの機構は共に、既存の薬剤による標的治療に適している可能性がある。しかし、臨床診療に何らかの変更を加える前には、大規模な無作為化臨床試験が不可欠だろう。

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