化学:界面に駆動される核生成と集合を経て形成される自己相似メソ結晶
Nature 590, 7846 doi: 10.1038/s41586-021-03300-0
粒子付着による結晶化(CPA)は頻繁に起こるコロイド結晶化機構であり、階層的形態をもたらす。CPAは、特異な性質を持つナノ材料の作製に利用されている他、複雑な鉱物組織の発達に関与している。配向付着は、粒子が特定の結晶学的方向に並んだCPAの一種であり、単結晶と同じように回折するメソ結晶を生成するが、構成粒子はまだ識別できる。CPAに関する従来の考え方では、核生成によって粒子が供給され、そうした粒子が、粒子間引力ポテンシャルによって偏向されたブラウン運動を経て凝集するとされる。しかし、メソ結晶は、規則的な形態と均一なサイズを示すことが多い。多くの結晶系がメソ結晶を形成しており、個々の付着事象が直接可視化されてきたが、ランダムな付着事象がどのようにして画定された自己相似形態につながるのかはまだ分かっておらず、ナノ粒子系でよく見られる表面結合リガンドの役割についても不明である。メソ結晶形成を理解しようとする試みは、多くの系では、バルクと異なる相を持つ前駆体ナノ粒子の存在によってさらに複雑なものとなっている。一部の研究では、そうした粒子は付着前に変換されると提唱されているのに対し、別の研究では、変換は付着過程自体に起因するとされていたり、メソ結晶が固有のサイズを超えた後に変換が起こると結論されたりしている。今回我々は、酸化鉄によるメソ結晶形成を調べた。酸化鉄は、自然環境における重要なコロイド相で、よく見られる前駆体相を形成し、相変態に付随するCPAを経る系の古典的な例である。我々は、80°Cでのin situ透過型電子顕微鏡法(TEM)と「凍らせて観察する(freeze-and-look)」TEMを組み合わせることで、酸化鉄がよく見られる土壌中に豊富に含まれるシュウ酸塩(Ox)の存在下で、ヘマタイト(Hm)メソ結晶の形成を追跡した。その結果、孤立Hm粒子はまれにしか出現しないが、一旦形成されると、Oxに覆われた表面の界面勾配は表面から約2 nmの所でHm粒子の核生成を繰り返し駆動し、次にHm粒子がその表面に付着することでメソ結晶が生成することが見いだされた。天然系や合成系との比較によって、界面駆動経路が至る所で見られることが示唆された。

