気候科学:中国東部からのCFC-11および関連化学物質の排出量の減少
Nature 590, 7846 doi: 10.1038/s41586-021-03277-w
トリクロロフルオロメタン(CFC-11)などのオゾン層破壊物質の排出量は、モントリオール議定書に対応して1980年代半ば以降減少してきた。近年は、2013年に始まったCFC-11の排出量の予想外の増大が報告されており、全球的な増大の大半が中国東部からの排出に起因すると考えられている。今回我々は、韓国の済州島Gosanと日本の波照間島から得られた大気中のモル分率の高頻度観測結果と大気中化学物質の輸送モデルシミュレーションを用いて、中国東部からの地域的なCFC-11排出量を調べた。その結果、CFC-11の排出量は2019年には2013年より前のレベルに戻り(2008〜2012年の年間7.2 ± 1.5ギガグラムと比べて、2019年は5.0 ± 1.0ギガグラム;±1標準偏差)、2014~2017年以降は年間10 ± 3ギガグラム減少していることが分かった。さらに、この地域では、四塩化炭素(CCl4)とジクロロジフルオロメタン(CFC-12)の排出量(CFC-11の生産に伴うものである可能性がある)が、2013年以降は予想より多く、その後、CFC-11排出量の減少の1~2年前に減少したことも見いだされた。これは、CFC-11の生産は、全球的な段階的廃止が義務付けられた後に中国東部で行われていたこと、そしてその生産量が2017〜2018年に減少したことを示唆している。我々は、中国東部のCFC-11バンク(生産されたがまだ排出されていないCFC-11の量)は、おそらく最近の生産の結果として、2013年より前のレベルと比較して2019年には最大112ギガグラム増大したと推定する。それにもかかわらず、おそらくは時宜を得た報告とその後の中国の産業界と政府の行動によって、オゾン層の回復のかなりの遅れが回避されたと思われる。

