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がん遺伝学:全ゲノム倍加は腫瘍細胞に固有の遺伝的脆弱性を与える
Nature 590, 7846 doi: 10.1038/s41586-020-03133-3
全ゲノム倍加(WGD)はヒトがんでよく見られ、腫瘍発生の初期に起こり、腫瘍発生を促進して遺伝的に不安定な四倍体細胞を生じる。WGDを起こした細胞(WGD+細胞)は、異常な四倍体状態を受け入れるよう適応しなければならない。しかし、このような適応の性質や、それらが治療に利用できる脆弱性となるかどうかは分かっていない。今回我々は、約1万の原発性ヒトがん試料の遺伝子塩基配列解読データと約600のがん細胞株についての生存必須性データを用いて、WGDが共通した遺伝的形質をがん細胞に与え、それが特有の脆弱性を生むことを示す。WGD+細胞は、WGD−細胞よりも、紡錘体形成チェックポイント、DNA複製因子、プロテアソーム機能からのシグナル伝達に依存していることが明らかになった。また、有糸分裂キネシンタンパク質をコードするKIF18Aが、WGD+細胞の生存能に特に必要であることが突き止められた。KIF18Aは、WGD−細胞において有糸分裂中の正確な染色体分離にはほとんど必要ないが、KIF18Aが喪失するとWGD+細胞に顕著な有糸分裂エラーが誘導され、最終的に細胞の生存能が低下した。まとめると我々の結果は、ヒト組織を構成する正常で形質転換を起こしていないWGD−細胞を温存しながら、WGD+がん細胞を特異的に標的とするための新しい戦略を示唆している。

