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コロナウイルス:SARS-CoV-2の年齢別死亡率と免疫のパターン

Nature 590, 7844 doi: 10.1038/s41586-020-2918-0

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の規模と重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の重症度の推定は、入手できるデータに不一致があるために難しい。COVID-19に関連した死亡数がエピデミックのサイズの重要な指標として使われることは多いが、観測された死亡数が表しているのは全感染数のごく一部である。その上、介護施設での感染状況に違いがあることや高齢者の死亡例の報告にばらつきがあることも、死亡率やその原因となる伝播レベルを各国間で直接比較する妨げになり得る。今回我々は、45か国のCOVID-19関連死の年齢別データと22の血清有病率研究の結果を使って、感染と致死率のパターンの複数国間の整合性を調べた。その結果、若年層(65歳未満)の死亡例の年齢分布は、状況が異なっても非常によく一致しており、これらのデータから感染者集団の比率をロバストに推定できることが分かった。感染者死亡率は、5~9歳の小児で最も低く、30歳以上では年齢に応じて対数線形的に増加すると推定された。国別の感染者死亡率の不均一性は、人口の年齢構成と介護施設での感染状況のばらつきによって、全てではないが一部を説明できる。今回解析の対象とした45か国では、2020年9月1日までに人口の約5%が感染しており、ラテンアメリカの多くの国々では、これまでの伝播率はこれよりはるかに高いと推定された。この単純なモデル化の枠組みは、各国のパンデミックの進行状況の評価に役立ち、信頼に足る年齢別死亡データが利用可能ならば、どのようなシナリオにも適用することができる。

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