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コロナウイルス:フランスにおけるCOVID-19症例の過小検出はエピデミックの制御を脅かす

Nature 590, 7844 doi: 10.1038/s41586-020-03095-6

ヨーロッパ各国が第一波後にロックダウンを徐々に緩和するにつれ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生率を低いレベルに維持するために、検査・追跡・隔離戦略が重要になった。この戦略における各国の対応の不十分さを見直すことによって、ヨーロッパで現在進行中の第二波を踏まえて考慮すべき要素が分かる可能性がある。今回我々は、地域病院への入院に対して補正した数学的伝播モデルと、ウイルス学的データと参加型の症状監視データを組み合わせて用いて、ロックダウン後のフランスにおけるCOVID-19症候性症例の検出率を推定した。その結果、検査陽性率は世界保健機構(WHO)が勧告する5%を超えていないにもかかわらず、9割に相当する約9万の症候性感染は、2020年5月11日から6月28日までのロックダウン後の最初の7週間で、監視システムに確認されなかったことが明らかになった。検出率の中央値は、このシステムの強化やエピデミックの勢いの低下のため、時間がたつにつれて7%(95%信頼区間は6〜8%)から38%(同35〜44%)へと増加し、地域的な違いが大きかった。参加型の症状監視データによると、COVID-19様の症状を示した人のうち、この調査期間に医師の診察を受けたのはわずか31%であった。これは、COVID-19の症候性症例の大多数が、推奨されているにもかかわらず医療的アドバイスを求めなかったことを示唆しており、血清学的調査でも立証された。COVID-19の疑いのある症例を自覚させて即日の受診行動を促すことが、検出を向上させる上で重要である。しかし、ロックダウンによってエピデミックの勢いが抑えられた状況でさえ、監視システムの能力は不十分なままであり、この能力はCOVID-19症例の発生の増加に伴って急速に低下すると予測された。従って、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)を制御するためのツールとして機能するためには、より簡単に利用できる、より積極的で対象を絞った効率の良い検査が必要である。この検査戦略は、ヨーロッパで現在の制限措置の部分的な解除を可能にしたり、第三波を回避したりするために重要となるだろう。

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