生体材料:生物学的活性を持つ二成分タンパク質2D材料の設計
Nature 589, 7842 doi: 10.1038/s41586-020-03120-8
S層や設計されたその類似体のような秩序立った二次元アレイは、生物工学研究者の興味をそそってきた。しかし、このような構造は、柔軟な複数のリンカーを使って形成された単一格子を除けば、1種類のタンパク質成分だけで構築されている。2種類の成分で作られた材料には、集合動態の調整やより複雑な機能性の取り込みに関して、かなりの利点が生じると考えられる。今回我々は、二平面を持つタンパク質製構築ブロック対の間に柔軟性のない接触面を設計することによって、共集合する二成分層を作り出す計算論的手法を報告する。我々はこの手法を用いて、p6m格子を設計した。設計されたアレイ成分はミリモル濃度では可溶性だが、ナノモル濃度で結合させると、速やかに集合して結晶に近いマイクロメートル規模のアレイを形成した。これらの構造はin vitroと細胞内において計算論的設計モデルとほぼ同一で、二次元の支持体を必要としない。この材料はゼロから設計されているため、構成成分への機能付与や対称性の再設定が容易に行え、識別可能な表面を持つリガンドアレイ形成が可能で、こうしたアレイは大量の受容体のクラスタリング、下流のタンパク質の動員やシグナル伝達を引き起こせることが明らかになった。支持体上の二重層に対する原子間力顕微鏡観察と生細胞上での定量的顕微鏡観察により、膜上に集合したアレイの構成要素の化学量論的性質と構造が、in vitroで形成されたアレイと同じであること、従ってこの材料は細胞膜などの基本的には無秩序な基盤に秩序性をもたらすことができると分かった。以前に特性が調べられた細胞表面受容体に結合する集合体(抗体やナノケージなど)が速やかにエンドサイトーシスされるのに対して、細胞表面で組み立てられた大型のアレイは、エンドサイトーシスを調節可能な様式で抑制することが分かった。これは、受容体結合の延長や免疫回避に関して治療に適用できる可能性がある。我々の研究は、細胞応答調節や合成系や生体系の作り変えのために多タンパク質マクロスケール材料を設計する合成細胞生物学に基盤を提供するものだ。

