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神経科学:自己と他者の位置を符号化する、境界固定的な神経機構
Nature 589, 7842 doi: 10.1038/s41586-020-03073-y
社会的環境における日常の課題では、ヒトは自身の空間的位置だけでなく、同じ環境内にいる他者の位置についての神経表現も符号化する必要がある。現在、自己と他者に対する空間の神経表現について知られていることの大部分は、齧歯類や他の非ヒト動物の研究から得られたものである。一方で、ヒト脳が他者の位置をどのように表現しているか、また、ヒトの認知の側面がこれらの位置符号化機構にどのように影響し得るかについては、ほとんど分かっていない。こうした疑問に答えるため、今回我々は、長期的に電極が埋め込まれている参加者を対象に、現実世界で空間ナビゲーションや観察課題を実行する際の脳の活動を調べた。その結果、内側側頭葉内に境界に固定された神経表現があり、これが自己だけでなく他者の空間的位置によっても調節を受けることが分かった。これらの表現は、参加者の瞬間的な認知状態に依存し、位置の符号化が行動的により高い関連性を持つ場合に強くなった。総合するとこれらの結果は、ヒト脳には、共有された環境内での自己と他者の位置を表現する、共通符号化機構が存在することを示す証拠を提示しており、現実世界の場面での空間ナビゲーションや他者の認識の基盤となる神経機構に、新たな光を当てるものである。

