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分子生物学:DNAの力学的性質をゲノム規模で測定する

Nature 589, 7842 doi: 10.1038/s41586-020-03052-3

屈曲などのDNAの機械的変形は至る所で見られ、多様な細胞機能に関連付けられてきた。しかし、ゲノム全体のクロマチンの処理にDNAの力学的性質がどのように影響するのかの解明は、DNAの力学的特性を計測するハイスループットな手段がないことで妨げられてきた。今回我々は、DNAのループ形成傾向を測定するハイスループットな方法である「loop-seq」を開発し、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の第V染色体、他のゲノム領域、またランダムな塩基配列に広がる27万806個の50塩基対DNA断片について、固有の環化傾向を測定した。その結果、転写開始部位(TSS)上流のヌクレオソームが非常に少ない領域に、塩基配列をコードする並外れて屈曲性の低い領域が見つかった。リンカーDNAの屈曲性が低いと、クロマチンリモデリング因子INO80によるリンカー内へのヌクレオソームの滑り移動が妨げられ、これによって、INO80がヌクレオソーム枯渇領域を、他の因子が存在しなくても限定できる仕組みが説明される。染色体規模で調べると、ヌクレオソームの特徴は、dyad(ヌクレオソームの中間点)付近ではDNAの屈曲性が高く、リンカー付近では屈曲性が低いことであると分かった。この対比は、遺伝子内部の深い所のヌクレオソームほど大きくなり、同義コドンのランダムな置換の後に消失することから、遺伝子内部にあるヌクレオソーム周辺のDNAの力学的性質がコドン選択の進化に影響してきたと考えられる。さらに、DNAの局所的な力学的性質は、TSS近傍のヌクレオソームを介して転写に影響することも明らかになった。まとめると、DNAの力学的性質についてのこのゲノム規模のマップは、広い機能的意味を持つ「DNAの力学的コード」の存在を示している。

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