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がん:Fat1の欠失はハイブリッドEMT状態、腫瘍の幹細胞性および転移を促す

Nature 589, 7842 doi: 10.1038/s41586-020-03046-1

プロトカドヘリンをコードするFAT1は、ヒトのがんで最も変異が多く見られる遺伝子の1つである。しかし、FAT1の変異が、腫瘍のイニシエーションとプログレッションの制御において果たす役割とその分子機構についてはよく分かっていない。今回我々は、皮膚の扁平上皮細胞がんと肺腫瘍のマウスモデルを用いて、Fat1の欠失が、腫瘍イニシエーションと悪性化プログレッションを加速し、ハイブリッド上皮間葉転換(EMT)の表現型を促進することを見いだした。また、FAT1の変異したヒト扁平上皮細胞がんでも、このハイブリッドEMT状態が見いだされた。Fat1を欠失した皮膚扁平上皮細胞がんでは、腫瘍の幹細胞性と自然転移の増加が認められた。プロテオミクス解析や機構研究と組み合わせて転写とクロマチンのプロファイリングを行ったところ、FAT1の機能喪失はCAMK2–CD44–SRC軸を活性化することで、YAP1の核移行と、間葉系状態を刺激するZEB1の発現を促進することが明らかになった。また、この機能喪失はEZH2を不活性化し、SOX2の発現を上昇させ、これによって上皮状態が維持された。我々の総合的な解析によって、FAT1欠失腫瘍での薬剤抵抗性と脆弱性が特定され、これはがん治療に重要な意味を持つ。今回の研究で、マウスとヒトの扁平上皮細胞がんにおけるFAT1の機能喪失は、ハイブリッドEMT状態の誘導を介して、腫瘍のイニシエーション、プログレッション、浸潤性、幹細胞性、転移を促進することが明らかになった。

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