Article
植物科学:転写抑制因子のネットワークがオーキシン応答を調節する
Nature 589, 7840 doi: 10.1038/s41586-020-2940-2
植物でも動物でも、発生応答の設定には、シグナル伝達能力の調節と共に発生シグナル自体の時空間分布が重要である。植物ホルモンのオーキシンは植物の成長や発育のカギとなるシグナルであり、AUXIN RESPONSE FACTOR(ARF)と呼ばれる転写因子群を介して作用する。よく保存されたARFサブセットであるクラスA ARFは、オーキシン応答性標的遺伝子の転写活性化因子で、植物の生活環を通してオーキシンシグナル伝達の調節に不可欠である。クラスA ARFは組織特異的な発現パターンを示すが、それらの発現がどのように調節されているかは解明されていない。今回我々は、クロマチンの修飾と接近性を調べ、クラスA ARFをコードする座位が転写に対して構成的に開かれていることを示す。我々は、酵母ワンハイブリッドスクリーニングを行って、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のクラスA ARFをコードする遺伝子の転写調節因子を特定し、各遺伝子が特異的な転写調節因子群によって制御されていることを明らかにした。一過性の形質転換アッセイと変異体の発現解析から、植物体ではこれらの調節因子の大半が、クラスA ARFをコードする遺伝子の転写を抑制することが分かった。これらの観察結果は、初期状態の開いたクロマチン立体配置のおかげで、転写抑制因子のネットワークが、発育期間を通して、クラスA ARFタンパク質の発現レベルを調節してオーキシンシグナル伝達の出力を調整できるという筋書きを支持するものである。

